まるた

 

58年前に亡くなった、まるたの祖母「チノおばあちゃん」は、豆3つ包める布は捨ててはいけないと、さいごまで「もったいない」を貫いて亡くなった。

 

小林家では、着物をほどいて小物を作った後の小さな端切れを、シールにする。

 

ポストカードやお手紙、メッセージカードやボールペンなどに貼ると、カワイイ。

 

 

四角いシールはハサミで、まあるく切ると、シール1枚につきこれくらいのゴミが出る。

 

流石のチノおばあちゃんでも、このゴミをとっておけとは言わないはずだ。

 

まるた、毎日喫茶ホールのレジに立ちながら「おっ、コレかなり正確な丸にちかいぞ(#^.^#)」とほくそ笑みながら、黙々とハサミを入れ「このゴミは、まとまったらすてよう」と専用の袋にためていた。

 

先日の事だ。

古いものが大好きで、お家にもたくさんの着物が残っているという女性のお客様がいらっしゃった。

 

あまりに、小林家の一つ一つに感動してくださるものだから、つい調子に乗ってこの切りカスの袋を見せた。

 

お客様「すごいね、すごいね、もしよかったらこれ、頂けないかしら?」

 

まるたも、さすがにびっくりして「え?こんなの何にお使いになるんですか?」

 

 

お客様「何に使うかまだ分からないけれど、これで何か作ったら持ってくるわね。」と、おっしゃって袋ごとお持ち帰りになった。

 

上には、上がいるものだと妙に感動した。

 

作品が楽しみだ。

 

 

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