まるた

 

なぁんにも無くなった。

 

明治の時代からあったのであろう灯籠が、最初から何もなかったように静かに姿を消した。

 

祖先がここに灯籠を置いたらカッコイイ***と思ったのだろう。

 

灯籠は、長いことじっと小林家の衰勢を見守ってくれた。

 

石材屋さんは「ここに大きな灯籠があったという証しに、台座だけ残しておくかい?」と言ってくれたが、これから50年後、100年後にこの家を守ってくれる人がいたら(そんなにこの家屋が持つかどうかは疑問だけど・・・。)その人が「邪魔だな」と思うに違いないので全てを撤去した。

 

きっとここに灯籠があった事なんて、誰も知らない日が来る。

 

時を刻むとはこういうことなんだな・・・。

 

 

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